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【法テラスとは】相続について相談できる?利用要件や注意点を解説

法テラス

相続にはさまざまな手続きが発生するため、誰かに相談したいと感じる方も多いでしょう。では、電車広告やCM などでおなじみの「法テラス」へ相続相談をすることは可能でしょうか。

結論から言うと、法テラスへの相続相談は可能ですが「利用要件」に注意する必要があります。そこで、本記事では法テラスにおけるサービスの概要や利用要件、相続相談時の注意点について詳しく解説します。

法テラスとは|国によって設立された法的トラブルの総合案内所

法テラスとは「日本司法支援センター」が正式名称の、国によって設立された法的トラブルの総合案内所を意味します。法的なお悩みに関して無料案内を提供しているほか、利用要件をクリアしていれば法律相談や弁護士・司法書士費用などの立て替えも行ってくれます。

法テラスはどこにある?

法務省所轄の団体として設立されている法テラスは、法律事務所が少ない司法過疎エリアもカバーする目的もあるため、全国に多数設置されています。全国に50カ所の地方事務所を構え、地方事務所の支部なども合わせると約100カ所の拠点があります。

参考URL 法テラス お近くの法テラス(地方事務所一覧)

法テラスで受けられるサービスの概要

法テラスには主に2つのサービスが用意されています。

1.情報提供

法テラスの窓口やサポートダイヤルでは、無料で法的なサービスの情報提供を行っています。ご相談内容をお聞きし、適切な相談先や利用できる法制度を紹介してくれるサービスです。

2.民事法律扶助

民事法律扶助とは、一定の利用要件をクリアしていると、以下3つのサービスを受けられる制度です。

・法律相談援助

法テラスと提携している弁護士・司法書士に無料で法律相談ができます。ただし、同一案件につき3回までという制限があります。

・代理援助

弁護士や司法書士に支払う必要がある費用について、法テラスが立替えしてくれる制度です。立替えしてもらえた費用は法テラスに対して、月々5,000円~10,000円を目安に返済します(※)
(※)法テラスでは償還と呼ばれます

・書類作成援助

裁判所に対して提出する書類について、弁護士や司法書士に作成をしてもらう際に発生する費用を法テラスが立て替えする制度です。自分で裁判所に手続きをするが、書類のみ専門家に作って欲しい場合などに利用されます。

相続相談時にはどのように法テラスを利用できる?

上記で法テラスにて受けられるサービスを紹介しましたが、相続について相談する際にはどのような内容のサービスが受けられるのでしょうか。具体的にこの章で紹介します。

情報提供サービス

情報提供サービスでは、専門職員が情報提供にあたっており相談に応じて適切な相談先や法制度の概要を提供してくれます。法テラスでは情報提供業務全般を「解決のための道案内」と表現しており、相続時にまずは何から始めればよいかわからない方におすすめです。
相談方法は以下のとおりです。

  • 法テラス サポートダイヤル
  • 地方事務所での専門職員による窓口相談
  • ホームページでのキーワード検索

詳しくは下記をご参考ください。
参考URL 法テラス 相談窓口・法制度

民事法律扶助

民事法律扶助のサービスは一定の要件を満たすと法律相談・費用の立替えが援助されるものです。相続時には弁護士や司法書士に業務を依頼する場合がありますが、まとまった費用を支払うことが難しい場合にご利用が検討できます。

民事法律扶助は現在収入が低い方や、生活保護受給者向けに提供されています。生活保護を受給している方は法テラスへの返済が猶予・免除されます。

法テラスに相談できる主な相続の悩みとは

相続時によくあるお悩みで、以下のようなケースは法テラスに相談できます。

・相続放棄や限定承認

被相続人に債務が多いケースでは、相続放棄や限定承認が検討できます。法律相談、民事法律扶助を使った弁護士へのご依頼が可能です。

・遺産分割協議、調停、訴訟

遺産を巡って対立している場合、弁護士へのご依頼が検討できます。法律相談、民事法律扶助を使った弁護士への依頼が可能です。

・財産の使いこみ

相続時に自身以外の相続人が被相続人の財産を使い込んでいることが予想される場合も、法テラスに相談できます

・遺留分を争う

遺留分を巡って争いがある場合も弁護士に相談できるため、法テラスの利用ができます。

・遺言書の作成など

その他にも、遺言書の作成などのご相談も可能です。

法テラスへ相談しにくい相続のお悩みもある

法テラスでは情報提供を通してさまざまな相続相談に対応していますが、民事法律扶助を通して悩みの解決を依頼できる法律の専門家は弁護士と司法書士のみです。

相続における専門家には相続税のお悩みを相談できる税理士もいますが、民事法律扶助では税理士との提携はありません。相続時には相続税・準確定申告・確定申告について悩む人も多いでしょう。このようなケースでは、お近くの税理士会や税理士・税理士法人へのご相談が望ましいでしょう。

法テラスを利用してみよう!利用要件と注意点

法テラスでは民事法律扶助制度によるサービスを受ける際に、一定の利用要件を設けています。この章で実際の利用を目指す方向けに、詳しく利用要件を解説します。

収入・資産に制限がある

法テラスは収入や資産が少ない方でも法的サービスを受けられることを目的に民事法律扶助のサービスを提供しているため、利用要件に収入・資産の制限を設けています。
(収入の基準は家族1名が増えると、下記図に東京・大阪などの地域で33,000円、それ以外で30,000円が加算)

・東京都特別区、大阪市など特定の地域にお住まいの方

家族人数収入基準資産基準
1人200,000円180万円以下
2人276,100円250万円以下
3人299,200円270万円以下
4人328,900円300万円以下

・上記地域以外の方

家族人数収入基準資産基準
1人182,000円180万円以下
2人251,000円250万円以下
3人272,000円270万円以下
4人299,000円300万円以下

上記の基準を超えると民事法律扶助のサービス(法律相談、代理援助、書類作成援助)が受けられないおそれがありますが、住宅ローンや教育費、医療費なども考慮されるため、まずは法テラスに確認されることがおすすめです。

無料法律相談は時間、回数に制限がある

資産・収入の要件をクリアし無料法律相談を利用できる場合でも、相談できる回数には「制限があることも知っておきましょう。

  • 同一案件につき3回まで (担当する弁護士、司法書士が代わっても回数は3回まで)
  • 相談時間の目安は30分程度
  • 法テラス地方事務所、もしくは契約している弁護士・司法書士に相談できる

相続相談を法テラスに行う際の注意点

法テラスの相談日に予約して法律相談する場合、弁護士や司法書士を指名することはできません。相続に強い弁護士を紹介してほしい、女性の司法書士にしてほしい、などのリクエストには応じていません。

法テラスと契約している弁護士・司法書士は各地方事務所のHPに情報が公開されています。契約している士業の場合、各法律事務所・司法書士事務所へ予約し、法律相談を受けることも可能です。

また、相続で「相続人に脅されている」などのお悩みで刑事事件につながるご相談を検討している場合、法テラスの民事法律扶助の活用はできません。刑事事件に関する法律相談は、各弁護士会や個別に法律事務所へご相談ください。

相談したい本人に代わって代理で相続相談はできる?

法テラスでは委任状があれば、相談したい本人に代わって別の方が相談を受けることも可能です。委任状には以下をご記載ください。

  • 委任状の作成した年月日
  • 委任する方の署名・捺印
  • 委任する相談内容
  • 代理人として相談する方の住所と氏名

法テラス以外で相続の悩みを相談できる窓口は?

相続については法テラス以外にも相談する窓口が多数あります。下記リンクで紹介しておりますので、ぜひご一読ください。

参考記事

相続発生!困ったときの相談窓口をパターン別に紹介

まとめ

本記事では、法テラスへの相続相談について利用要件や注意点を詳しく解説しました。誰でも気軽に利用できる法テラスですが、具体的に法律相談を受けたり代理援助制度などを利用する場合には、収入などの要件をクリアする必要があります。

利用時には契約している弁護士・司法書士や法テラス地方事務所に問い合わせると、相談したい方が利用できるかどうか確認してくれます。また、相談できる回数にも制限があるため、貴重な機会を有効に生かすためにも、相談時には内容をまとめてから伺うことがおすすめです。

この記事を書いた人:法律ライター 岩田いく実

損害保険会社勤務後、法テラスや一般民事系法律事務所でのパラリーガル経験を経て、法律ライターとして独立。交通事故被害者の家族として携わった高額訴訟の経験も生かし、年間60人を超える弁護士への取材も行い、書籍への執筆も行っている。
相続・交通事故や債務整理分野などを中心に記事制作活動を展開中。

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