【顧問弁護士選択のポイント】、顧問の決定前にやってはいけないことや避けるべき弁護士の特徴について
「顧問弁護士はどのようにして選べば良いのだろう?」
と迷ってしまう方が少なくありません。
顧問弁護士は会社を守る強い味方となってくれる存在です。ただし弁護士なら誰でも良いわけではありません。企業法務の分野に明るく、顧問会社の業種や業態、個性に対して深い理解を持っている弁護士を選びましょう。
この記事では顧問弁護士を選択する場合に注目すべきポイントや、顧問弁護士を選ぶ際にやってはならないことを解説します。
これから顧問弁護士を探そうと考えている場合、是非参考にしてみてください。
1.中小企業法務に明るい弁護士を選ぶ
顧問弁護士を選ぶ際には、中小企業の企業法務に詳しいかどうかに着目しましょう。
一言で「弁護士」といっても、さまざまな活動領域があるためです。
一般的に、弁護士の活動分野(民事)は以下の3つに分けられます。
- 一般の個人を主な顧客とする活動分野(債務整理や離婚、相続など)
- 中小企業を主な顧客とする活動分野(契約書チェック、作成、労働トラブルや債権回収、クレーム対応など)
- 大企業を主な顧客とする活動分野(海外進出やM&Aなど)
中小企業法務以外の分野に熱心に取り組んでいる弁護士に顧問弁護士を依頼しても、適切に活動してくれるとは限りません。
顧問弁護士を探す場合には、債権回収や契約書のチェック、作成、労働トラブルなどの中小企業法務に明るい弁護士を選びましょう。
中小企業法務に明るいかどうかの見分け方
弁護士が中小企業法務に明るいかどうかについては、どのように判断すれば良いのでしょうか?
これについては、弁護士の経験や取り扱い件数を検討すべきです。たとえばすでに中小企業の顧問を多数引き受けていて経験豊富な弁護士であれば、頼りになる可能性が高いでしょう。
また中小企業法務に力を入れている弁護士は、ホームページでも企業法務関係の記事を多数載せているケースが多々あります。具体的にどのような顧問先があるかについても、弁護士事務所のサイトなどに記載されている例があります。
弁護士事務所のホームページやブログ、サイト記事に着目したり弁護士に直接質問したりして、中小企業法務に力を入れているのか、どのくらい経験があるのかチェックしましょう。
2.自社と同業種、同規模の顧問会社が多い弁護士を選ぶ
顧問弁護士を選ぶ際には、その弁護士にどのような顧問会社が多いのかも参考にすべきです。
自社と同業種の顧問をすでに引き受けているのであれば、業界の常識やルール、専門的な法律などにも詳しく頼りになる可能性が高いためです。
また自社と同規模の顧問をすでに引き受けている弁護士であれば、その規模の会社でどういった法律問題が起こりやすいのかを把握しやすいでしょう。
顧問弁護士にするなら、なるべく自社と同業種や同規模の顧問会社の多い弁護士を選ぶようおすすめします。
3.コミュニケーションを取りやすい弁護士を選ぶ。
顧問弁護士を選ぶポイントとしては、「コミュニケーションを取りやすいこと」も重要です。
顧問弁護士とは頻繁に連絡を取り合う必要があります。緊急で土日などに連絡を取りたいこともあるでしょう。そんなとき、弁護士と連絡がつきにくいとあまり頼りになりません。
なるべくすぐに連絡を取れてコミュニケーションがスムーズな弁護士を選ぶのが得策です。
たとえば以下のような弁護士はコミュニケーションを取りやすいといえるでしょう。
- 電話するとすぐにつながる、つながらない場合でも早めに折り返しの連絡がある
- メールを送ると2、3営業日には返信がある
- 携帯電話番号を教えてくれる
- 土日や祝日にも対応してくれる
- 困り事がある場合、すぐに法律相談の日程を入れてくれる
反対に、以下のような弁護士はコミュニケーションをとりにくいのでおすすめではありません。
- 電話をしても不在が多く、折り返しの連絡もくれない弁護士
- メールを送ってもスムーズに返信をくれない弁護士
4.フットワークが軽く話しやすい弁護士を選ぶ
顧問弁護士を選ぶ際には、なるべくフットワークが軽く話しやすい弁護士を探しましょう。
たとえば顧問弁護士のサービスとして、月に1回などの定期的に弁護士事務所や顧問会社で会議を開いてくれるケースがあります。会議の場では会社の現状確認や課題分析、今後の対処方法などについて、弁護士を交えて検討します。
弁護士が頻繁に会社に来てくれたり事務所で会議を開いてくれたりすると、会社にとっては有益となるでしょう。こういったフットワークの軽い弁護士がおすすめです。
また話しやすいかどうかも重要なチェックポイントです。
顧問弁護士とは長い付き合いになりますし、日々相談しなければならない内容が多数発生します。話がわかりやすく具体的で、会社の運営に実践的に役に立つ弁護士を選ぶと会社にとって利益となるでしょう。
話しにくい弁護士を顧問弁護士にしてしまうと、日々の相談も億劫になって連絡を取りづらくなり、顧問料が無駄になってしまう可能性もあります。
顧問弁護士を選ぶ際には、フットワークが軽く話しやすい弁護士を選びましょう。
5.顧問弁護士のサービス内容を選べる弁護士を選ぶ
顧問弁護士を選ぶ際には、顧問弁護士のサービス内容と料金にも着目すべきです。
顧問弁護士のサービス内容は、弁護士事務所やコースによって異なります。
たとえば「法律相談は何度でも無料」の弁護士もいれば、「月に数回まで無料」とされる弁護士もいます。
着手金や報酬金の割引のある弁護士もいればそういったサービスのない弁護士もあります。
同じ料金なら、なるべくサービスの手厚い弁護士を選ぶのが得策といえるでしょう。
また同じ弁護士事務所でも、複数のコースが設けられているケースがよくあります。たとえば法律相談のみが何度でも無料になるリーズナブルなコース、着手金や報酬金の割引がついているコース、月1回の事務所会議や会社訪問などがセットになっている手厚いコースなどです。
顧問弁護士のコースを選べる弁護士の場合、ニーズに応じた対応をしてもらえるので会社にとって使い勝手が良くなるでしょう。会社のフェーズに合わせて顧問弁護士のコースの選び直しもできます。
できれば複数の顧問弁護士のコースが用意されている弁護士事務所を選ぶと良いでしょう。
6.会社のビジネスを理解している弁護士を選ぶ。
顧問弁護士を選ぶポイントとして「会社のビジネスを理解しているか」が重要です。
会社の事業内容や業界特有のルール、会社の企業風土や傾向などを理解してくれる弁護士を選びましょう。
たとえば食品業界の企業であれば、食品業界に適用される法律や業界内のルールなどを理解している弁護士を選ぶとよりスムーズに対応してもらえますし、安心感も高まります。
ネット関連の会社なら、特定商取引法やプロバイダ責任制限法などのネット関係の法律や広告表現のルールなどに詳しい弁護士を選ぶ必要があるでしょう。
建設業、不動産業の会社の場合には、それぞれ業界特有の慣習やビジネスの仕組み、業界に通用する法律に詳しい弁護士を選ぶべきです。
すでに別の同業種の顧問会社があって詳しい知識を持っている弁護士なら頼りになると考えられます。そうでなくてもしっかり顧問会社の担当者の言葉に耳を傾けて理解しようとする姿勢を持っている弁護士を選びましょう。
7.予防法務に力を入れている弁護士を選ぶ
会社にとって、トラブルはなるべく早めに解決することが重要です。
裁判などのトラブルに発展してしまうと時間も労力もかかってしまい、損失が大きくなってしまうためです。
顧問弁護士を探す際にも、なるべく紛争になる前の段階での解決を模索してくれる人を選びましょう。
たとえば契約書を作成する段階から将来起こりうるトラブルを予想し、避けるための措置をとってくれる弁護士は頼りになります。このように、トラブルになる前に問題を解決するための法務を「予防法務」といいます。
予防法務が得意な弁護士を顧問にしておくと、会社はトラブルに巻き込まれにくくなりますし、いざ問題が起こった場合にも予想していた内容なのでスムーズに対応できます。
顧問弁護士を探すときには「トラブルが起こってから解決する」タイプよりも「トラブルが起こる前に予防してくれる」弁護士を選びましょう。
8.裁判になる前に交渉で解決してくれる弁護士を選ぶ
会社を経営していると、トラブルを避けられないケースも少なくありません。
たとえば以下のような問題があります。
- 消費者からクレームが来た
- 退職した従業員から残業代を請求された
- 支払いをしない取引先がある
トラブルを避けられない場合、企業としてはなるべくスムーズに解決したいものです。
そのためには、裁判より交渉で解決するのが得策です。紛争が生じるたびにいちいち裁判をしていると、大変な労力と時間、費用がかかって会社に不利益が及んでしまいます。
顧問弁護士を選ぶ際には、なるべく裁判は避けて交渉での解決を目指してくれる人を選びましょう。弁護士には交渉を得意とするタイプと裁判を得意とするタイプがあります。裁判を得意とするタイプの弁護士の場合、何かトラブルが起こるとすぐに裁判にされて、企業に負担がかかってしまう可能性があります。
裁判前に素早く相手と連絡をとり、会社の代理人として交渉してトラブル解決してくれる弁護士を選びましょう。
9.顧問弁護士を選ぶ時にやってはいけないこと
顧問弁護士を選ぶ際にはやってはいけないことがいくつかあります。以下で確認しましょう。
9-1.弁護士と十分なコミュニケーションを取らないまま決めてしまう
顧問弁護士を選ぶとき、弁護士と十分なコミュニケーションをとらないまま決めてはなりません。
まずは法律相談に行き、人となりなどを確認しましょう。
コミュニケーションをスムーズに取れそうかどうかも確認すべきです。折り返しの連絡が早めに来るかどうかなどもチェックしましょう。
9-2.事務所の特徴やサービス内容を把握しないまま決めてしまう
弁護士事務所にはそれぞれ特色があります。得意分野や得意とする紛争解決方法なども異なります。
また一言で「顧問弁護士」といってもさまざまなサービス内容があり、やはり事務所によって異なります。
事務所によっては複数の顧問弁護士サービスが用意されているケースもあります。
こうした事務所の特徴やサービス内容をよく理解しないまま決めてしまうと、後悔する結果になりかねません。
顧問弁護士を選ぶ際には、事務所の特徴やサービス内容をしっかり理解してからに契約しましょう。
9-3.顧問料の安さだけで決めてしまう。
顧問弁護士を選ぶとき、価格の安さだけで決めるのはおすすめできません。
価格が安くても、サービス内容が充実していなければ意味がないからです。
顧問弁護士を選択する場合、価格だけではなく以下のような内容に着目しましょう。
- その価格でどこまでの対応をしてもらえるのか
- コミュニケーションをスムーズにとれるか
- 話しやすいか
- 業界に明るいか
9-4.安易に知り合いの弁護士や紹介された弁護士に決めてしまう。
顧問弁護士を選ぶとき「知り合いの弁護士だから」「知り合いに紹介された弁護士だから」という理由で決めてしまう方がいます。
しかし知り合いや紹介された弁護士に簡単に決めてしまうのはおすすめではありません。
その弁護士が会社のニーズに合っているかどうかわからないためです。
弁護士の得意分野や中小企業法務の経験、コミュニケーションの取リやすさなどを冷静に検討し、適切と考えられる場合にのみ顧問契約を締結しましょう。
10.顧問弁護士として避けるべき弁護士の特徴
顧問弁護士を選ぶ場合、以下のような弁護士は避ける方が無難でしょう。
- 高圧的で態度が偉そうな弁護士
- 高尚な話はしても、結局どうすればよいのか、解決方法を提示してくれない弁護士
- 連絡を取りづらく、コミュニケーションを取りにくい弁護士
- 話を聞いてくれない弁護士
- 費用が高すぎる弁護士
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