「私が考える顧問選びのコツ」回答者:税理士 落合和雄(おちあい・かずお)さん
企業経営者や資産家、プロフェッショナルにとって、専門外の分野や領域に心強い味方がいれば、さらに本来の力を発揮できることができるはず。 一方で、積極的に企業の経営戦略に関わろうという専門家も増えてきました。 ここで困るのが顧問の選び方です。 単なるアウトソーシング先ではない顧問を探したい、しっかりした顧問が欲しいという読者向けに、各界のプロが顧問選びのポイントを伝授します。 |
今回の回答者は、神奈川県川崎市の落合和雄税理士事務所の落合和雄先生。専門家に顧問になってもらい、心強い味方を得るコツについてお話を伺いました。 (編集部) |
「専門外の専門家」に依頼しないように注意する
自分が相談する分野に強い専門家かどうかを見極めることが大切です。顧客から税理士、弁護士への不満を聞かされることがありますが、それは専門外の方に頼んでしまったケースがほとんどです。
たとえば、経営支援を期待するのであれば、経営に強い税理士に頼む必要があります。
本当の専門分野を探す際のポイント
顧問捜しをする際には次のことを頭に入れておくとよいでしょう。たとえば、アピールする看板の冒頭に「相続」と書いてなければ、相続は専門外の税理士です。後ろのほうに「相続」とあると、単なる箔付けの可能性があります。たいして力を入れていない分野の場合があるので注意してください。
経営全般の支援を期待できる税理士を選ぶことも大切です。ほかの分野とのネットワークを持っていて、最適な司法書士、弁護士、社労士などを紹介してもらえれば大きな助けになります。
顧問はどこまで手を貸してくれるのか?
私の事務所では、経営支援までをワンセットで行います。会社の経営を常にチェックし、借入金の対策などを経営者と一緒に考えます。経営会議にも定期的に参加しています。しかし、税理士の立ち位置は税理士によって違います。定期訪問をしない、経営支援をやらないという税理士もたくさんいます。
私は、税理士というものは節税対策をするのは当たり前だと考えています。しかし、別の税理士事務所から来られた顧客から「こういうこともやってくれるのですか!」と驚かれたことがありました。
自分が望む専門分野の士業の先生であっても、どこまで手を貸してくれるのかをはっきりとさせておくのは大事なことだと思います。
回答者プロフィール
落合和雄(おちあい・かずお)さん
税理士。
システムエンジニアを経て、MBA(経営情報学修士)を取得。税理士としての活動を中心に、中小企業診断士やITコーディネータ等の資格も併せて、創業支援・経営計画立案・企業再建等の経営指導やプロジェクトマネジメントのコンサルティングを行う。著書に「実践ナビゲーション経営」(同友館)、「年金に頼らない蓄財術」(アスキー新書)など。