顧問弁護士との契約(顧問契約)
弁護士は、法曹三者と呼ばれる裁判官・検察官・弁護士となるための司法試験と司法修習を経てなることができる国家資格です。
法律相談業務、債務整理、調停の申立,訴訟の提起、刑事事件の弁護人、内容証明郵便や契約書などの作成、示談交渉、遺言書の作成などの他会社に関する諸手続きへの関与も多岐にわたります。
弁護士の顧問契約について
弁護士の月額顧問料は3万円からという設定が多く見受けられ、顧問料には3時間程度(調査時間を含み、相談方法に関わらず)までの相談を含めるケースや、電話、ファックス、Eメールなどで簡単に回答できるものに関しては時間の制限をしない場合もあります。契約内容によっては契約書のチェックを月に何件までという制限を付けている場合(簡単なもの、高度なものなどでも費用設定が変わります)も多く、弁護士に個別に依頼した場合と明確な報酬の割引を付けているケースもあります。
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弁護士との顧問契約の一般的なメリット
何でも話せる味方が近くにいること
何か起こった時に頼りになるのも弁護士ですが、予防法務(法的リスクの早期発見、予防)で頼りになるのも弁護士です。リスクの目を摘むには弁護士とのコミュニケーションが大きな役割を果たします。近年IT系の企業などでインハウスロイヤーを置くことが増えていますが、企業にインハウスロイヤーがいる場合でも外部の顧問弁護士の果たす役割は大きなものと言われています。
弁護士のスピーディーな対応が可能になること
一般企業が弁護士(法律事務所)と顧問契約した場合にスピーディーな対応が可能になるということも大きなメリットです。トラブルや問題の発生後にはスピーディーな対応により問題を大きくしないということが重要なポイントです。弁護士と顧問契約していれば、電話やメールでアドバイスを受けることが可能な場合が多いので、問題が起きてから適切な弁護士を探して対応するのとは大きく違ってきます。
弁護士に会社のことをよく理解した上で回答してもらえること
トラブルや問題が起きてから弁護士を探す場合は、法律事務所とアポを取って、日程を決めてから法律相談をするということになります。この時点で弁護士は依頼者の方のことをよく理解しておりませんので、社内事情などを理解した上でのアドバイスはできません。通常より依頼者の方の持たれているリスクや社内事情を理解していれば、状況に応じた解決策をご提案できる可能性があります。
弁護士にアウトソーシングでコストの削減が可能なこと
企業が自らトラブルや問題を解決しようとした場合、関連情報の取得の時間、間違った情報・知識で行動するリスクがあります。間違った情報・知識で行動した場合、さらに時間が掛かるということを考えられるので、時間コストの面からも顧問弁護士を持つメリットはあります。また、実際に発生するコストの面からも、何か行動を起こす時にも、顧問契約していれば割引を受けることが可能な場合も多いので、全体で考えた場合コストが抑えられるということも考えられます。
顧問契約を結ぶために必要な費用
企業が弁護士と顧問契約を結んだ場合、毎月「顧問料」を支払うことになります。2009年に日本弁護士連合会(日弁連)は、全国の弁護士にアンケート調査を行いました。調査結果は次のPDFファイルにまとめられ、公開されています。
見やすい簡易版 中小企業のための弁護士報酬目安[2009年アンケート結果]
すぐに回答できる相談を顧問契約の範囲とする場合
調査を要せず、すぐに回答できる相談を顧問契約の範囲とする場合、月額顧問料の平均額は4万2636円です。最も多いパーセンテージを占めるのは5万円で、41.7%。次いで3万円の36.5%となります。つまり3万円と5万円が大多数を占めます。
月3時間程度の相談を顧問契約の範囲とする場合
月3時間程度の相談を顧問契約の範囲とする場合、月額顧問料の平均額は4万3017円です。最も多いパーセンテージを占めるのは5万円で、52.7%。次いで3万円の33.5%となります。前述の「すぐに回答できる相談を顧問契約の範囲とする場合」と比較すると、5万円の回答が多くなっています。
5万円と3万円の顧問料が大多数を占める理由
日弁連は平成16年まで、顧問料を5万円と規定していました。しかしこの報酬規定が廃止されてからは、弁護士が自由に報酬を決めることができるようになったのです。このため、最近では顧問料を3万円程度に設定する弁護士や法律事務所が増えてきました。
月額顧問料の範囲
調査を要せず、すぐに回答できる相談を顧問契約の範囲とする顧問契約は、全体の34.5%となります。月3時間程度の相談を顧問契約の範囲とする顧問契約は、全体の59.9%となります。
一方、「個々の相談事については別途弁護士費用を請求する」は、0%でした。つまり月に1回程度の簡単な法律相談であれば、ほとんどの弁護士は顧問料の範囲内で対応しているのです。
顧問の範囲をきちんと確認する
ですが月額顧問料の範囲内の業務内容については、あらかじめ弁護士からきちんと説明を受けるようにしてください。また、月額顧問料の範囲を超えた場合の扱いについても確認するようにしましょう。
たとえば、何か相談をすればすぐに別途費用が発生することもあれば、ある程度の相談については費用が発生しない場合もあります。日々の法律相談に加え、契約書の作成やチェックなども顧問料の範囲で対応してくれる弁護士もいます。こうしたことから、顧問料の安さだけに釣られて安易に弁護士を選ばないようにしましょう。
顧問弁護士のコストパフォーマンス
顧問弁護士は顧問契約を結ぶ企業の法律相談を優先的に対応してくれます。また顧問料の範囲を超える案件では着手金や報酬金などが別途必要になりますが、顧問契約を結んでいる場合、そうした弁護士費用を割引してくれます。
たとえば、特殊専門的分野の相談1時間あたりの相談料を見てみましょう。特殊専門分野において顧問契約をしていない場合、相談料の平均は1万7534円となります。一方、顧問契約をしている場合、平均額は7887円となるのです。さらに月額顧問料の範囲内として、別途費用がかからない場合も多いのです。
次に、顧問契約をしていない場合と顧問契約をしている場合の費用を比較します。着手金は、請求する金額、事案の複雑さ、労力によって幅があります。また報酬金も回収した金額、事案の複雑さ、裁判などの手続きや労力などによって幅はあります。あらかじめ弁護士とよく相談するようにしてください。
取引額3千万円の契約書作成の場合
製造メーカーである中小企業が卸売業者との商品の継続的取引のために基本売買契約を作成する場合について、見てみましょう。年間の取引予想額が3千万円では、顧問契約をしていない場合、契約書の作成費用の平均は11万4460円となります。一方、顧問契約をしている場合、平均額は6万5169円となるのです。
さらに月3時間程度の相談を顧問契約の範囲とする場合、契約書作成の場合でも使用時間が3時間以内であれば顧問料の範囲内とする弁護士もいます。
売掛金2千万円を回収した場合
製造メーカーである中小企業が販売先から代金2千万円を支払ってもらえない。商品の品質に問題はないので回収したい。弁護士は勝訴し、全額を回収できたとします。
顧問契約をしていない場合、着手金の平均額は78万9796円、そして報酬金の平均額は175万7627円となります。一方、顧問契約をしている場合、着手金の平均額は61万6226円。そして報酬金の平均額は146万574円となります。
下請代金500万円を回収した場合
製造業者である中小企業がメーカーから部品の製造を受注しました。しかし部品を納入しようとしたところ、メーカーから受領を拒否されました。メーカーの受領拒否が下請法に違反するとして、下請法ADRを利用し、代金500万円を回収したとします。
顧問契約をしていない場合、着手金の平均額は31万3971円、そして報酬金の平均額は55万2632円となります。一方、顧問契約をしている場合、着手金の平均額は26万9295円。そして報酬金の平均額は48万3936円となります。
自社の業界に強い弁護士を選任する
自社の業界に強い顧問弁護士を選ぶことが重要です。労働事件や知的財産などに関わる問題、銀行などの金融機関との融資交渉や民事再生手続きなどの案件を、確実に対応できる弁護士でなければなりません。顧問弁護士を選任するには、あらかじめ評判を調べ、能力を重視するようにしましょう。
月々にかかる顧問料や、その金額で対応してもらえる範囲についても事前に確認するようにしてください。
※上記金額は一部の例になります。弁護士にご依頼される場合は各弁護士にご確認ください。