【税理士 落合和雄様インタビュー】相続や経営支援分野で頼もしい顧問
税理士 落合和雄様 インタビュー 聞き手:みんなの顧問編集部(茂田)
相続や経営支援分野で頼もしい顧問
今回お話を伺ったのは、落合和雄税理士事務所を営む落合和雄さん。
相続や経営支援などの分野に強い税理士で、特に不動産投資については自身でも実践している。また中小企業診断士でもあり経営全般への幅広い知識を持つため、商工会議所や商工会、金融機関等からの依頼も含めたコンサルテーションも年間30回以上行っている。個別案件の依頼で多いのは、企業再建と事業承継。事業承継では、相続対策が多いという。
落合和雄 Kazuo Ochiai
税理士 落合和雄税理士事務所所長
落合和雄税理士事務所
プロフィール
東京大学工学部卒。新日鉄情報通信システム(株)でシステムエンジニアを経て、MBA(産能大学経営情報学修士)を取得。2011年より老舗の税理士事務所を引き継ぐ。中小企業診断士、ITコーディネータ、情報処理技術者試験(システム監査、特種)、PMP(米国プロジェクトマネジメント協会認定プロジェクトマネージャ資格)等の資格も持ち、創業支援、経営計画立案、企業再建等の経営指導、プロジェクトマネジメントなどでのコンサルティング・講演・執筆など幅広く活動中。著者に「実践ナビゲーション経営」(同友館)、「年金に頼らない蓄財術」(アスキー新書)など。
相続税を10分の1に
とある相続対策で、公正証書までできた段階で落合さんに相談があった。あらためて落合さんが一から対策を立て直すと相続税が10分の1になった。
この対策を可能としたのは、落合さん自身が不動産投資の実践者だからだろう。落合さんが自身でも不動産経営を始めたのは2005年頃。「私の顧問先には地主さんが多く、私自身も不動産投資を経験すべきだと考えました。適切なアドバイスができれば、継続的なお付き合いに結びつきます」
現在、マンション7棟、66室を経営する落合さん。いままでの不動産投資で、大きな失敗はなかったのだろうか。
「これまで痛い目にあったことはありません。幸い、私が不動産投資を始めた頃は環境が良かったのです。今は土地が値上がりして利回りが落ちたので、当時よりは厳しい状況ですね」
落合さんが所有するほとんどの物件は住宅用マンション。「店舗や事務所と比較して、リスクが少ない」というのが、その理由だ。
不動産の運用をさまざまな見地から検討する
落合さんは、相続対策で顧客が不動産を購入する時に、物件についての詳細な確認も手伝う。
不動産投資では「長期の投資か、短期のキャッシュの確保の投資か、その目的を明確にします」。
特に相続対策では、個人でやるか法人化するかの判断も重要だ。相続時期が近い時に現金を不動産に変えれば価値の減少も大きくなる一方で、相続時期が当分先の場合は、不動産収入の分散を重視して法人化を勧める場合もある。
落合さんの紹介する物件は、「かなり固め」。しっかりした不動産業者や建築業者は家賃下落などのリスクも見込んだ提案をするが、きちんと説明しない業者も多く、顧客の収支が回らなくなりトラブルになるケースもある。不動産投資が回らなくなれば、最悪は土地や建物を売って清算、つまり資産を失いかねない。
落合さんは不動産を、「購入金額と予想収益」「借入金の額と利率」「空き家リスク、家賃下落リスクの状況」「長期修繕の必要性」などから収益をシミュレーションして今後何十年かの収支を算出する。
不動産経営で織り込むリスク
「クライアントに多くのリスクをとらせるわけにはいきません。たとえば入居率80パーセントでも借入金を返せるかどうかをシミュレーションした上で、物件を判断してアドバイスします」
顧客が後々困ることのないように、相続のためだけの不動産投資も勧めない。節税対策だけを考えると後悔することになると言い、必ず資産を増やす提案をしている。
「不動産購入は高い買い物です。多少のお金を払っても、第三者に相談することをお勧めします。売り手に言いくるめられて、後悔する人が少なくありません」
特に不動産経営には、さまざまなリスクが潜む。大きな修繕が約10年に1度の頻度で発生することも購入時に考慮する。また、イレギュラーなリスクとして、入居者の自殺や不審死などによる家賃の減額や家賃滞納もある。耐震基準を満たす最近の物件であれば地震で倒れることはないが、湾岸地区での津波被害のリスク、一方でたとえば東京近郊では多摩地区などの郊外の地盤が強い場所では家賃下落のリスクがある。このようなリスクも織り込んで不動産投資のアドバイスを行う。
相続に強い税理士を探すのがポイント
「相続に関して、弁護士の不満を持ち込む顧客が時々いらっしゃいます。相続に強くない弁護士に相談してしまった。相続は必ず税金が絡むので、税金を理解していない弁護士では困ります」
相続に不慣れな税理士も多い。税理士1人あたりの相続の相談件数は、年間平均0.5件でしかない。そこで「相続を看板にした税理士を頼ること」が重要となる。
相続税対策で一番効果があるのは不動産をからめた対策だが、「税金だけを知っていても駄目なのです」と、落合さん。不動産投資の良し悪しやノウハウを知った上でのアドバイスが大切だという。
企業支援でもさまざまな視点からのアドバイスが大切
経営が悪化した企業には、「経営者が意見を聞かない」「訪問するたびに語る夢の内容が異なる」「夢を追うが、具体的な計画がない」「経理の数字が読めない」などいくつかの共通点があるという。
中小企業診断士でもある落合さんは、経営が悪化した企業の再建計画の策定に携わることも多いが、経営面、マーケティング面、人材面を含めてトータルな視点からアドバイスをする。
節税は決算前に始めないと意味がないので、利益が出そうな会社には、早い段階から対策を立てる。「会社の状況を常に見て、事前にアドバイスします。そういうことをきちんとしていれば、自然と信頼関係が生まれるものです」
さまざまなコミュニケーションを行いながら企業支援する落合さんは、税理士が節税対策を考えるのは当たり前だと考えているが、そうしない税理士も少なくない。「税理士としての立ち位置が私とは違うのだと思います。経営支援をしない税理士はたくさんいますね」
顧客側からすれば節税対策や経営支援は多くの要望になると思うが、そのような税理士と付き合うことが顧客側にとって大切なポイントとなりそうだ。
落合和雄税理士事務所(http://ochiaizeirisi.tkcnf.com/index)
お問い合わせ 044-431-2015
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